小説

土とともに #15(忙しない朝)

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 翌日、僕は目を覚ました。時計を見ると針は7:00を指していた。
「身体が軽い気がする…」
 昨晩は久々に快適な睡眠を取ることができたようだ。こんなに清々しい朝、いつぶりなのだろう…とりあえず布団から出て、歯磨きをして顔を洗った。そして寝間着から着替えていると、扉をノックする音が響いた。
「コンッコンッ。おはようございます。ルーニャですわ。入ってもよろしくって?」
「はい、大丈夫ですよ。」
「ガチャッ」
 という音と共にルーニャさんが入ってきた。
「昨晩はゆっくり休めましたか?」
「はい。今までにないほどの快眠でした。」
「それはようございました。私、こちらに朝食を持ってきたのですけれど…もういただかれますか?」
「それはありがたいです!いただきます。」
「承知いたしましたわ。それでは支度をするので、あなた様はその辺りでお待ちを…」
 そういうと彼女は、通路にあるワゴンから料理を次々と机の上に並べていった。
「お待たせいたしました。こちらが本日の朝食になります。メニューは、白米、シークシイラのみそ煮、グランク産野菜のサラダ、となっております。」
 変わった名前の料理が並んだ。だが、見た目はどれも「空の世界」で見たことのあるようなものばかりだ。
「いただきます。」
 僕はそういって料理をいただいた。その味は食べなじみのある味で、どこか懐かしさを感じる。普段食べている「インスタント料理」とは雲泥の差だ。僕はあっという間に平らげてしまった。
「ごちそうさまでした。」
「あらあら、食べるのずいぶんとお早いんですのね。」
「いやー美味しかったものでつい…」
「それはありがたいことですわ。まだ食べますか?」
「いえ、もう大丈夫です。」
「そうですか。それではしばしの食休みを挟んだ後、「大臣」の元へ参りましょう。」
「分かりました。」
 それから数分経って、僕たちは「大臣」の元へと向かった。昨日と同じ「大臣」の部屋へ。部屋には「大臣」ともう一人、見知らぬ人がいた。外見からして自分と同年代くらいに見えた。
「おはよう、昨晩は休めたかイ?」
「はい、ゆっくりさせていただきました。」
「そうかそうか、それは良かっタ。じゃあ、そこに座ってヨ。」
「はい。」
「あっ、そういえばこの子とは初対面だったネ。」
「そうですね。」
「それじゃ紹介するヨ。彼の名は「アージャ」。ここ「ヒルク」の「補佐官」をやっている子ダ。ほら、自己紹介しなヨ。」
「はい!どうも初めまして「空人」さん!僕はアージャと申します!「大臣」もおっしゃった通り、ここ「ポペラヒルク」の「補佐官」をさせていただいています!よろしくお願いします!」
「よ、よろしくお願いします…」
 なんというか…すごく明るい人だ…こんなにグイグイ来られると、すぐに疲れてしまいそうだ…
「まぁそんなわけで、今日は彼も一緒に同行してもらウ。」
「同行?どこか行くんですか?」
「うン。今日は君と行きたい所が色々とあってネ。」
「なるほど…」
「でも、その前に君に「この世界での名前」を与えなければならなイ。」
「「この世界での名前」…そういえば「空の世界」での名前は使えないんでしたね。」
「うン。そのための儀式があるんだけド…本来は「公礼堂」という所で執り行わなければならないんダ。でも、今回は特例により省略させてもらウ。」
「えっ、いいんですか?」
「うン。細かいことは気にしないでほしイ。では、今この場で君の名を発表すル!」
「えっ!?そんないきなり!?」
「うム。君の名は「ウール」ダ!」
「わーい!ヒューヒュー!」
 僕の名前はいきなり発表された。心の準備が整う前に発表されたので、僕はこの祝福ムード(?)についていけなかった…「補佐官」の彼はすごいノリノリだ。
「よし、では行こウ。」
「えっ、ちょっと待ってください。こんなんでいいんですか?」
「うん、いいんだヨ!それに一刻も早く現場に向かいたいんダ!」
「えっ、現場?」
「詳しいことはあとあと!とりあえず僕についてきて!ウール!」
 朝早くからなんと忙しないことだろう…僕は流されるがままに彼らの言う現場へと連れていかれたのだった…

#16へ続く

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