小説

ブルーパシフィック(2)

『ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ』

教室から聞こえた謎の音に恐怖を覚える6人、代表して奈津美の彼氏の畜ペンこと南條がドアを開けると・・そこには意外な人物がいた・・・

『ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ』

「お願いします、命だけは助けて下さい、生贄代わりにこの畜ペンを差し上げます」

「藤居、そこで彼氏売る・・・って・・鈴木先生」

6人の前に現れたのは6人の担任である鈴木だった・・鈴木は6人を見るなり

「カス共、こんな真夜中に何やってるんだ・・」

「先生・・あのですね、この学校で30年前に起きた殺人事件の犯人を捜すために学校に来た所存でして・・」

「・・殺人事件だ・・」

奈津美が主語もわからない言葉を繰り返していると奈津美の親友のあおばが鈴木にある新聞記事を見せた

〈スッ・・・〉

「どれどれ・・・南花月高校大量殺人事件・・・」

「・・・・・・・・・【えぇ・・ここ南梅田高校は前は南花月高校と言う名前だったんですが30年前の今日に大量殺人事件が起きまして・・犯人は逃走したのかわからないんですが現在行方不明でして・・】」

「フムフム・・」

「・・・・・・・・・【警察やマスコミや学校は表沙汰にしていませんが犯人は当時南花月高校に通っていた生徒で・・生きていれば先生と同じくらいの年です・・】」

「伊達、そんなのテレビでも公表していない情報を何処で仕入れたんだ・・」

「・・・・・・・・・【校長と教頭が話していた・・】」

「・・・何か・・学校の名前変えて犯人の生徒の情報も隠してるなんて・・実質上のもみ消しだよな」

『あぁ』

「薄汚ねぇ大人の典型的なパターンだな・・」

奈津美とあおばの話を聞いた鈴木は暫くした後に重い口を開け一言

「・・お前ら・・悪い事は言わない、この事件は忘れろ」

「は・・先生・・それはどう言う」

「仮に事件の犯人が生きていて事件の核心をお前らに知られたら黙ってはいないだろう・・運が悪ければ殺されるかもしれない・・」

「でも・・」

「鈴木先生の言う通りだよ君たち、今すぐこの事件を忘れなさい」

「校長、教頭、いたんですか」

6人達の前にやって来たのは校長の里と教頭の西川である、更に詳しく鈴木先生の話を聞くと話はこうである、校長は30年前の事件の時は生徒だった鈴木先生、犯人、教頭の担任をしていた事・・もみ消しは犯人が自分の教え子の一人である犯人の家族に対する配慮だったと言う

「君たち、今帰れば始末書と反省文は書かなくていいから帰りなさい」

『ラッキー』

「ただしお説教は免除になりませんよ」

高校生にとってはお金ではなく反省文や始末書を書かなくていいのは遥かに大きい何かがあるのだ・・先生らの説得で学校を出ようとしたら1階のドアの鍵が開かない事に気づいた・・

「校長、ドアが開かないんですけど」

「おかしいな・・修理したばかりなんだけどな・・」

「こうなったらここにあるバットでドアのガラス事壊しましょう」

〈バシッ〉

「何バカやってるんだよ、反省文免除されたのに奈津美のせいでプラマイゼロになるだろ」

「んだと畜ペン」

「畜ペンって言ったな、この擬人化ハリーホークが」

「また始まったよ」

「この間なんて神宮球場の前で喧嘩して動画サイトにアップされた位だもんね」

「奈津美の言う通りじゃないけど鍵で開かないなら何かでこじ開ける」

「ましろも意外と馬鹿じゃん」

「ドライバーならありますよ」

奈津美達がドアをこじ開けようとした途端原因不明の地震が起きた、自身はさほどではなかったがその後に太陽のような眩しい光が生徒と教師達を襲った・・謎の光はしばらく続き光が収まると学校は元のままだった

「何だったんだ・・」

「・・とりあえず・・教室に戻らない・・唯一鍵が開くのは教室だし・・」

『・・それもそうだな・・』

奈津美がそう言うと全員いったん教室に戻った・・が奈津美達が教室で見たものは今さっきまで見たものとは違う光景だった・・・

「・・なんだこれ・・・・」

「教室が血まみれになっている・・」

「・・・・・・・・・【まるで30年前の事件の惨劇みたいだ・・】」

「・・誰だ・・これもお前らのイタズラじゃないのか・・」

「違いますよ、みんなさっきまで1階の入り口にいたのにこんな悪質なの出来るわけないじゃないですか」

「でもな・・」

「違うってんだろタコスケが・・誰かスマホか何か持ってる・・」

「僕持ってますよ・・」

甲本の彼氏の水川のスマホを見る奈津美、スマホの電波は圏外になっており、日にちも何処か狂っていた・・その一方であおばは周囲を見回していると教室に飾ってあるカレンダーを見るなり驚いていた・・・

「・・・・・・・・・【199・・・・まずいぞこれは・・・】」

「どうしたのあおば・・・って確かにこれはまずい・・・」

「藤居・・どうした・・」

「鈴木先生まずいよ、あたし達は・・あたし達は30年前の今日に来てしまったみたいだよ・・」

「30年前・・バカ言え・・」

教師達がカレンダーを見ると年号は30年前の1990年になっており、新聞にも「1990年の十大事件でも一番の惨劇」と掲載されていた

『皆さんはどうやら30年前の今日、あの大量殺人事件の当日に来てしまったようですね』

ー続くー

水川べる

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