コラム

☆つぶやき~農業高校生の日常②1年生 鶏~

※ここから先の内容は少々グロテスクなものが書かれています(画像はありません)
それが苦手な方は閲覧をお控えください。

さて~前回と引き続き、私の農業高校生時代の続きを語っていきまShow time!

前回のお話は
つぶやき~農業高校生の日常①受験~を見てね~

さあ、
さらぴんの制服を着て、席についた
※新品をさらぴんって言ってみた 関西では新品の事をさらぴんって言うらしいよ~

畜産の一番最初の授業で私、なんて言われたと思う?

「畜産って、下ネタだから」

この時のショックったらないよね

思わずカラカラ…とシャーペンを落とした沙彩なのであった…

※実際は落としていません(笑)それぐらいショックだったってことです

気を取り直して最初の実習

これもまた衝撃的だった
ひよこの予防接種なのだ

さらにまだ驚いてはいけない
しかもその予防接種、注射って言ったら血管などに差し込んで注入するのに
何故か翼膜(よくまく)を貫通させるのだ

※翼膜…私はようまくと覚えていたが、”よくまく”らしい。あれ?だけどようまくって習ったような…
翼膜とは人間でいう肩から手首にかけてある膜のことで皮膚の部分である。もちろんひよこにもついている

まさかのこれが一番最初の実習

うちの農業高校はテレビにも出ていて、そこで見たのだが、
その時の先輩は涙を流して、可哀そうと怖くて注射を打てない先輩もいた

その年代のクラスによってそうゆうのがダメなクラスと平気なクラスと分かれるらしい
ちなみにうちのクラスはそんなこと気にせずブッスブッスと注射を打っていった
「私なんかも3匹もやっちゃった☆」
なんていう猛者もいた(オレも!)
うちのクラスは鋼のメンタルの持ち主なのでした…(私含め)

先につぶやき~注射恐怖症への道のり モチベーションは大事~を読んだ人は
「おい、注射されるのはイヤで、するのはいいのかよ」
って思った人がいたかもしれませんが

…まぁ、注射するのは、楽しいからさ☆(てへぺろっ!)

ちなみにこの高校にはヤギがいて、しかもそのヤギの役割
採血されるだけなのだ

角を両手でグッと持たれて保定されて首に刺される
嗚呼、なんて哀れなヤギなんだ…

※保定…動物、人ともに安全に固定する事
畜産動物に限らず、愛玩動物、動物園にいる野生動物(展示動物)にも用いられる固定方法である
なお、各動物によって様々な保定方法がある

ちなみにひよこの予防接種の針、剣山のようになっていて
なんと3本もあるのである

これが一気に翼をグサッと貫通するなんて
ヒィィ…我ながらゾッとする

そして次の実習
今度は鶏を一から育てるという授業だった

ひよこのことを一通り教わったところで
いざ、実践!

ひよこはどこから運ばれてくるのかな…
とドキドキワクワクしていた

しかし、私が目にしたのは衝撃的なものだった!

実習用の教室からカラカラ…と宅配便の人が入ってきた
そして先生は当然のように宅配便の人に支払いを済ませていった

まさかね、まさかだとは思うけど…

宅配便の人から受け取った段ボールの中から
ピヨピヨ…と声が聞こえる
段ボールの隙間からはモケモケとした黄色い毛が出ていた
そして段ボールを開けると、その中にはギュウギュウに詰められたひよこが入っていた
(段ボールの中真っ黄っき!)

小さな命、宅急便で送られてくるのかよ!!

もっと小さな命丁重に扱えよ!!

宅急便で はいっ って…

もっと他に方法あっただろ、、、

ひよこは一羽ずつ優しく運んでくるのかと思ったら
そんな雑な方法で運ばれてきたことに衝撃を受けていた

そんなこともつかの間、

ひよこたちは円状に囲われたスペースに放たれ、
ひよこを一から育てる長期授業が始まったのだ

まず私たちは
ひよこを育てる上で温度が非常に重要だということを教わった

私たちはさっそく、
学校に泊まることになった

これも畜産科歴代の恒例授業で、
ひよこたちのスペースの深夜の温度をチェックするため
学校に一泊お泊りするのである

もうワクワクしてきた

泊まった後はどうするのかというと
そのまま制服を着て学校に通学するのである

夜、私たちはさっそく夕飯作りをすることになった

何か作っていたのは覚えているが、何を作ったかは覚えていない
まず、そもそも夕飯を作ったかも記憶はさだかである(作ったはず)

ただこれだけは覚えている

うちの班の女の子がジャガイモ?を切ろうとしていた
するとその女の子はなんと包丁を上から振り下ろして
ダンッ!!ダンッ!!と叩きつけるように切り始めたのだ

「○○ちゃん!!危ない!!」

その子は食材の切り方がドヘタだったようで、
すぐに女の子達から止められた

「いいから!○○ちゃんはお風呂のお湯沸かしといて!」

見た目は読者モデルみたいな美貌なのに、そんな一面があったとは…
お泊りとは、そんな意外な一面も知れる面白い機会なのである

そして深夜

私たちは先生に起こされた
眠い目をこすりながら、パジャマ姿で体を震わせながら立っていたのを覚えている

鶏舎の中に入ると
ひよこたちは保温のライトのオレンジ色の光に包まれて
ピヨピヨと鳴いていた

「可愛いねぇ~」
「ねぇ~」
「あったかい~」
「ねぇ~」
「可愛い」
「ねぇ~」
「唐揚げ」
「やめなさい」

モケモケとした唐揚げ、…ひよこの温度計を確認し、
私達は宿泊室に戻った

最初の課題
お泊り実習も終了し
そこから流れるように月日が経っていった

ひよこ達の黄色い毛はポロポロと抜け落ち
体はみるみる大人の体形になっていき
次授業後に来た時には鶏冠(とさか)が生えていた
そしてその鶏冠も赤く染まり
立派な成鶏になった(成鶏という字なかなか出てこない)

※畜産あるある 畜産用語なかなか出てこない

しかし、ここからだった
成鶏になった鶏達はみるみるうちに体の白い羽が抜け落ち、
肌色の肌が見えるようになっていき
今まできちんと立って餌を食べていたのに
休日のおっさんのように横に寝そべりながら食べるようになってしまったのだった

そう、
チャンキーとはそうゆう品種なのである。
チャンキーとは私たちが食べている一般的なブロイラー(肉用鶏)の品種で
本当に肉を生産するためだけにできた品種なので
いかにだらしなく(運動せず※運動すると肉が固くなってしまうから)
いかに肉にエネルギーを集中させるか
が重要になってくるのである
だから
羽を生えさせるのもエネルギーが必要になってくるため、
羽を抜け落として、エネルギーすべてを肉に集中させているのだ

だから
歩かない
鳴きもしない
寝そべって餌を食べる

品種が出来上がるのである

※鶏に限らず、牛、豚みんなそうだよ☆
肉用種はいかにだらしなく(運動せず)、肉量を多く生産できるかがカギなんだよ☆

さあ、みなさん
ここまで鶏のいろんな成長過程を見てきましたね

ひよことして入荷
成長
肥育

さて、次は何だと思いますか?

…そう、来てしまったんです。あの日が

今日も私たちは上下作業着をいつものように着て畜舎にやってきました
でもいつもと雰囲気が違います
ちょっとだけみんなピリッとしていて
緊張感が漂っていました

たくさんの大きな機械、器具達
大きな釜(かま)に入った温かい湯
そして…

さばくための尖った小さなナイフ

そう、今日は鶏解体の日
今日で鶏ちゃんともさよならです(おなかの中でこんにちはだけどな)

先生に鶏の頭を押さえてもらい、気管を切らないように頸動脈を切っていくのだ
(気管を切ると窒息死してしまい、うまく血抜きができなくなるのである。そうするとおいしいお肉にならない※生臭い肉になる)

余裕がありつつも少し緊張感が漂う私たち生徒
同じように緊張感漂わせる先生
そして周りを取り巻く親たち

?!!

親!?!!

そうです!!
今日はなんと授業参観の日なのです!!!!!!(爆笑爆笑)

なんてとんでもねぇ日に授業参観計画してるんだよ!!!!!笑笑笑笑笑

なんて日だ!!!!

そう、生徒と一緒にお母さんやお父さんたちも(9割がたお母さんだったけど)命の勉強をしようというのだ

そして私たちが解体した肉は、
保護者達によって親子丼になるのです☆

たのちい笑笑

さあ、そして
鶏の解体が始まりました
まずは先生が頭を押さえて首を伸ばして頸動脈を切っていきます
赤紫のドロッとした血液がドバッと出てくる
切った後も鶏は平気な顔をして首を上げていたけれど
首を切っていた時の、先生の手の中で苦しそうに目を細ませて悶えていた鶏の顔は、今でも忘れられない…

次は三角コーンを逆さまにしたような器具
「放血とう」
に鶏を逆さに突っ込む
そして頭の方から下に血を流していくのだ
この時鶏は暴れて逆さになった足をバタバタさせて逃げ出そうとするが
決して慌ててはいけない
ちなみに
鶏は頭が吹っ飛んだままでも走り回れるらしい
かつて先生が実際の現場を目撃して
ホラー映画みたいになっていたんだそう

そして
鶏が徐々に暴れなくなり、足も止まり黄色かった足がだんだん白くなっていったら
次は洗濯機でグルグル回してく

ちょい!!!ちょいちょいちょい!!!
洗濯機って!!
なんで洗濯機で回すねん!

って思ったでしょ?
これはね、普通に洗剤入れてクルクル回すということではないのよ
洗濯機のような機械に鶏を入れて、
もちろん洗剤も水を入れずにグルグル回していくのだ
そうすると、遠心力で羽が抜け落ちていって下の取り出し口から出てくるのだ

どうよ、この洗濯機みたいな機械の中で3羽くらいの鶏がグルグル回っている光景
謎でしょ

鶏の扱われ方よ

畜産はあくまで商品なので、生産品なので、こうやって普通の動物の扱われるイメージとは違う扱われ方をしている
私は授業で習ったから、こうゆう扱われ方には見慣れてきた方だけど、未だに疑問を感じる時がある

洗濯機が終わると
今度はぬるま湯の釜の中につけるのだ
つけると言っても、手を離すとそのまま釜のそこに沈んでしまうので
足を持ったままぬるま湯に鶏を漬け込んで
洗濯機で取れきれなかった残りの羽をむしっていくのだ
ここでひと時のおしゃべりタイム♪
同級生の友達と一緒に
「今日何羽目さばいた?」
「今日まだ1羽目~」
と女子トークを繰り広げるのだ

するとそこに
私のお母さんがやってきた
お母さんは鳥が苦手なのである
昔砂浜で寝ていたら足の上にハトが乗ってきて
その気持ち悪い感触が今でも忘れられなくて嫌いになったんだそう
(私から見たらご褒美なんだが?)
私は「そうだ」と思いついて、ニヤリと笑みを浮かべた

「お母さん!ほら!」
私はザバーンと力尽きて白くなった鶏を釜から出し、
お母さんに見せつけた
その鶏は羽が取れてすってんてんになっていて
目も死んだ目をしていた

ぎゃああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!

案の定こうなった

面白かった。

(史上最悪な親孝行 乙)

お母さんは息絶えた鶏をひっさげて近づいてくる娘を見ながら
デジカメを握りしめて顔を青くして後ずさりしていった

そんな、私のお母さんのような反応をするお母さんもいれば、
私の友達のお母さんのように興味津々に
「ほうほう、、、」
と放血とうに入っている鶏をまじまじと見るお母さんもいた

同じお母さんでも
十人十色で全く反応が違っていて、面白かった

そして何羽か首を切った後
私たちは実習室に入って鶏の解剖をすることになった
まずは内臓を取り出す
たしか奥の方の内臓をねじってクイッと引きずり出すのだ

そして頭を切断する
首は硬いので、刃を手で押さえて一気に体重をかけて骨ごとボリッと切断する
頭は一か所に集められるのだ
私は友達の前でこうやった
「ねぇねぇ見て見て、ほら!」
そう言って鶏のまぶたをパカパカ開けて遊んだのだ
私は楽しいしウケると思ってやったのだが
友達は少々苦笑いをした
そして私は思い出した
この子が家でオカメインコを飼っていたことを。

ごめんよ 友達
私は速攻お母さんに怒られた

さて、みんなに質問だ。
切断された鶏の頭ってどこに行くと思う?
鶏の肉は食卓によって食べられるし、手羽先だって食べられる。
首や肋骨だってラーメンのガラになって食べられている
では頭は…?

実は私たちも校外学習で学んだのだが、
鶏の頭は”鶏頭(けいとう)”と言って
動物園で利用されるのだ
動物園の冷蔵庫を見ると、一袋どっさり入った鶏頭が出てくる
一袋5㎏といったところだ

鶏頭にはカルシウムがたっぷり含まれていて
(たしか脳みそにも栄養があるとかないとか?)
動物園の動物にとって必要不可欠な食べ物なのだ
私も動物園で働いてたとき
1年生で鶏頭を見慣れていたのもあって
入った当初からまったくビビることもなく触れた

普通に冷凍してあった鶏頭を解凍したやつを持って
「い~ち、に~い、さ~ん」
と数えていたくらいだ
なんだったら最初の就職前の実習期間だって
後ろで鶏頭を真っ二つにバン!バン!と包丁で切っているところを見ていたくらいだ
(脳みそと目の汁が飛び散ってたよ☆)

ちなみに動物園で餌の仕分けをやっていると
よく鶏頭と目が合った
呪われそうだよね。(笑)

さあ、動物園の話はこの辺で。
鶏のモモ肉、胴体、と切り分け終わると
私たちは畜舎の教室に入った
やっとの休憩時間
私たちはふぅ~と息をついて思い思いの時間を過ごした
携帯をいじったり(私はまだこの頃ガラケーだったけどなっ!ふん!)、だらだら過ごしたり

その間親たちは私たちが解体した鶏を使って親子丼を作っていた
(私たちが解体した鶏を使って親が作るこれがまさに”親子丼”なんつってな!)
運ぶ途中で誰かが鶏肉を落としたという噂はきっと気のせいだろう うん!

しばらくすると
大きいプレートに乗せられたほっかほかの親子丼が現れた
大きく湯気がたっていて美味しそう…
私たちはお腹ぺっこぺこだった

すると同級生の男子が携帯をいじり始めた
その男子はいつも腰が痛い、目が…目が…と言っているので
通称”おじいちゃん”

”おじいちゃん”は携帯で数分前まで生きていた鶏の画像を出してきた
そして親子丼の隣に置いて言った


「ビフォーアフター」

やめなさいっ!!!笑笑

そんな辛辣なことやめなさい!!笑笑

もう全然原型とどめてないでしょーが!!!!

まぁなんということでしょう
雑魚寝で飼われていた鶏たちが今や職人たち(保護者)の手によってほっかほかの温かいご飯の上でおいしく盛り付けられているではありませんか~

とでも言えというのか(笑)

いやぁ~笑った

そして無事に鶏たちはほっかほかのまま私たちの胃の中に納まりました

さようなら、鶏たち そしてお腹の中でこんにちは

こうして
1年生の一大イベント『鶏の解体』は幕を閉じたのであった

いやぁ
なんだかんだで、楽しい授業だった

PS
私たちは他にも
卵の中の構造や(カラザとかね)レイヤー(採卵鶏)ブロイラー(肉用鶏)の品種や
飼い方の種類なども1年生で勉強するよ
(これ全部テストに出るよ!!)

他にも見本としてこの実習前に先生が実際にレイヤーで解体して見せるんだけど
レイヤーの肉はもう何回も卵を生ませているから硬くて食えたもんじゃないよ

実際に採卵鶏でもう卵が生めなくなった鶏は出荷されてドッグフードになるらしいよ

つぶやき~農業高校生の日常③2年生 豚に恋をした~

❀沙彩❀

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