前回のあらすじ!→超強い水着マルゼンスキーは持ってないけどチャンミ頑張るぞ!
水着マルゼンスキー対策を練ろう!
というわけで、チャンミ予選の話である。
第一ラウンドと第二ラウンドでは、3勝以上しないと次のラウンドで上位である「Aグループ」には進めない。
とはいえ、この段階では一発勝負ではない。実は第一ラウンドと第二ラウンドはそれぞれ二日間開催されており、プレイヤー1日につき数セット挑戦できる。そのうち1セットでも3勝以上できればAグループで次のラウンドへ進める仕組みだ。
1セットは5レースなので、5戦中3勝。つまり勝率6割が必要になる。周りのプレイヤーも強いわけで簡単には達成できないのだが、少なくともチャンスだけはあるので、育成しなおしたり、ほかのウマ娘を出場させてみたり、組み合わせを変えてみたりと試行錯誤することが出来るのだ。
勝てないなら強いウマ娘を育てればいいじゃない、と昔の偉い人も言っていた。
正直、僕は大会開催直前まで全然強いウマ娘ができなくて半分諦めモードだった。
逃げウマ娘を育てようとしても、なかなか強いステータスの子が作れない。そもそも逃げウマ娘には「絶対に必要なスキル」があって、それを取れるかどうかは運任せ。たまに良いステータスの子を作れたらスキルがとれない、スキルがとれたらステータスが伸びない、そんなジレンマの繰り返し。
水着マルゼンスキーを持っていない人も多い為、逃げを採用しない人も少なくない。序盤は後方に控えて終盤で一気に追い上げる、「差し」や「追い込み」という後ろの脚質のウマ娘を育てる手もあるのだが、それにしてもステータスは目茶苦茶盛らなくちゃいけない。
特に後ろの脚質は、有効なスキルが良いタイミングで発動するかどうかで結果が大きく変わってくるため、爆発力はあるが安定しないのだ。レース展開次第では全く前に上がれずに終わってしまうこともある。保険としてはいいが、エースにするには心もとない。
やはり、逃げウマ娘を育てるのがいいように思える。
実は、逃げウマには水着マルゼンスキーに対抗できるといわれるウマ娘が一人存在する。
僕が前にチャンピオンズミーティングでプラチナに輝いた時に1着を取ってくれたのも、そのウマ娘だった。
セイウンスカイ。それが彼女の名前である。
セイウンスカイの勝ち筋
いつもフワフワと、やる気が行方不明なのんびり娘。
Cygames.セイウンスカイ | ウマ娘 プリティーダービー 公式ポータルサイト|Cygames.
しかし結構な策士で、怠惰なのは油断させるためのポーズだったり、本当に怠けているだけだったりする。
趣味は昼寝と釣り。猫好きでもあり、よく野原で猫と一緒に丸くなっている。
スペシャルウィークらと同期。
https://umamusume.jp/character/detail/?name=seiunsky,(参照 2021-10-01)
超かわいくてシナリオも最高。いつも飄々としている彼女が、本当は才能の差に心が折れそうになっているのを隠そうとしていたり、親しい相手をからかいながら思わぬ反撃に逆に照れてしまったりするなど魅力的なキャラクターなのだが、今回はキャラ性能の話である。
水マルと比べてセイウンスカイ(スカイ)は元々がマイル適正が低く、色々工夫しないといけないうえに、中長距離向けということもあってスタミナが伸びやすい。そのかわり、スピード練習に補正が全く乗らないのだ。
元々サポートカードが弱い僕が、適正も性能の劣るウマ娘を育てたら、普通に考えたらステータスが低くて負ける。そんなところに労力をかけるのは無駄にも思える。だがスカイには、水マルよりも絶対的に優れているところが一つあるのだ。それが固有スキル「アングリングスキーミング」である。
発動の条件は厳しい。最終コーナーの出口で1位に立っていなければ発動しない。だが一度発動してしまえば、圧倒的な加速でみるみる内に後続を離し、相手次第ではぶっちぎりの独走で勝つことが出来る。
だから兎に角先頭を奪い、保持し続ける必要がある。スピード、賢さ、パワーを限界まで伸ばし、様々なスキルを取得しなくてはならない。
確かに、ステータス上昇の面でスカイは水マルに劣る。水マルは能力も盛りやすいし、自身の固有スキルも強い。
重課金者ともなれば、スピード、賢さがMAXで、パワーも非常に高い化け物を当たり前のように送り込んでくる。
ただ、一点だけ水マルには弱みがある。それは水マルも1位を取るためにはアンスキを継承固有で取得しなければならないという点だ。
継承固有とは何か。
ウマ娘を育てる際には、過去に育てたウマ娘2体を「親ウマ」にして、能力の一部を引き継ぐことが出来るのだ。実際の競馬で血統交配があるように。これにより、能力やスキルにボーナスがつくのだが、その際に「各ウマ娘の専用の能力である固有スキルも継承できる」のだ。
継承を使えば、あるウマ娘の固有スキルを他のウマ娘にも取得させることが出来る。トウカイテイオー専用の能力である「究極テイオーステップ」をライバルであるメジロマックイーンに搭載することが出来たりもする。
そのため、水マルも、スカイの「アンスキ」を取得できる。
だが継承固有は本家の固有に比べると、弱くなる。
継承固有のアンスキでは、十分に加速することが出来ずに「差し」や「追い込み」などの後方から追い上げるウマ娘に抜かされる可能性がある。
だが、スカイのアンスキは発動さえしてしまえばそうそう追い抜かされることはない。
セイウンスカイは遮るものなどない道を駆け抜けていく。その名の通り、澄み渡った青空のように。
青雲は晴れのち曇り?
スカイを育てるしかない。
覚悟を決めてから、結構頑張って育成した。
ずいぶん苦労したが、その甲斐もあって僕は、重課金者の仕上がった水着マルゼンスキーに勝てるセイウンスカイを作ることが出来た。単純なステータスこそわずかに劣るものの、その分を補うためにスキルを沢山獲得した。僕のサポートカードからしたら、ほぼ文句なしの仕上がりと言える。
他者と自由に対戦できるルームマッチでも、5割以上の確率で1位を取れた。
ルームマッチは報酬こそでないものの、自慢のウマ娘の強さを確かめたいプレイヤー達で日々大いに盛り上がっている。
そこに出てくるウマ娘の中には、重課金の怪物がかなりの数いるのだが、そこで勝てるのだ。
こうなれば間違いなくセイウンスカイがエースである。
残りの2人は決勝までに決めればいいし、そのうち1人はあっさりときまった。今まですべてのチャンピオンズミーティングで必ず採用してきたウマ娘で、その能力の上がりやすさと安定感が頼もしいウマ娘、オグリキャップだ。
オグリ自身が1位を狙うことも出来るし、ウンスの後ろについてブロックの役目を果たすことも期待できる。
予選は第一ラウンドはほぼ全勝、第二ラウンドも7割以上の確率で勝利をおさめた。
参加賞だけ受け取れば良いと思っていた大会前からしたら望外の好成績だ。こうなってくると欲が生まれる。
「勝てるかもしれない」という期待は、「勝ちたい」という欲望に代わり、結果を残すごとに「勝てる」という気持ちに変化していく。
だが青雲が暗雲に移り変わっていくように、いつしか不安が顔をもたげる。
「勝てないかもしれない」と。
決勝直前。最後の1人を決める前に、僕は悩んだ。セイウンスカイの勝率が落ちて来ていた。
大会の決勝が目前になると、ルームマッチは一際にぎわう。決勝に進んだプレイヤーたちが開いた出走させるウマ娘を決めるためだ。
これまで、僕のスカイは重課金者の水マルやスカイに勝ち続けてきたが、決勝を目前に1位をとれないレースが増えてきた。
恐らく、ほかのプレイヤーも決勝に向けて育成しなおし、完璧な個体を仕上げてきたのだろう。
勿論、全く勝てなくなったわけではないが、決勝でそういう格上と対戦することになると負けてしまうかもしれない。
ウマ娘の対人戦では仕様上、終盤で先頭に立てていない場合、ラストスパートで逃げ馬が抜き返すことは不可能となっている。逃げ馬は、逃げ切れなければ勝てないのだ。
前述した通り後ろの脚質のウマ娘は安定せず、僕もなんどかルームマッチで試してみたが、勝率は奮わなかった。
なにより、相手のセイウンスカイが先頭の場合、追い付けずに終わることが多かった。
YouTubeなどで攻略している配信者も「水マルが先頭なら勝機はあるが、スカイが先頭だと厳しい」と分析していた。
このままでは決勝で苦戦する。
たしかに元々は勝てなくてもいいと思っていた。課金額や知識、育成力の差もあって、強いトレーナーに勝てなくても当然だし、今までは決勝で3位をとれればいいや、と思っていた。
だが、予想に反して勝ち星を積み重ねていくうちに、負けたくなくなっていた。せっかくここまで来たのだ。どうせなら勝ちたい。
切り札、スマートファルコン
一つ、有効かもしれない策がある。
「逃げ」のウマ娘を2人入れる事だ。
エースのセイウンスカイが先頭をとれば良し、とれなかったときのためのもう一人である。相手のスカイや水マルを抑え込んで先頭に立ち、継承固有のアンスキを発動する。
実はその役目を一番やりやすいのが水着マルゼンスキーなのだが、僕は持っていない。
ただ、それに近いことが出来るウマ娘なら持っていた。
そのウマ娘の名前は――スマートファルコン。
芝の競馬場で活躍した逃げ馬になぞらえ「砂のサイレンススズカ」と呼ばれた彼女はその名の通り、本来の主戦場は「ダート」であり、芝のレース場への適正は低い。そのため、芝のレースで使うためには手間をかけなければいけない。詳しくはここでは省くが、「芝適正」の因子を大量に継承する必要がある。育成のハードルが高いのだ。
それに、スマートファルコン(ファル子)は先頭争いに重要な賢さが伸びにくいため、水着マルゼンスキーに比べると採用率が低い。ただ、その固有スキルは恐らく先頭をとる能力だけで言えば、セイウンスカイや水着マルゼンスキーより上だろう。
彼女の固有スキル「キラキラ☆STARDOM」は中盤、先頭のポジションを争った時に発動し、抜かせまいと速度を上げる。
最終コーナーまで先頭を保持すれば、彼女も継承固有の「アンスキ」を発動することが出来る。
だがそれは水マルと同じで、ラストスパートで追い込みや差しのウマ娘に追い抜かれる可能性があるという弱点を持つ。
そして何より、先頭を保持するということは、後方脚質のウマ娘に勝つことのできるウマ娘、僕のセイウンスカイを封じてしまうということでもあるのだ。
スマートファルコンを入れず、追い上げ型にも勝てるセイウンスカイが先頭をキープするのに期待するか、セイウンスカイが潰された時の為に、他の逃げウマを勝たせないためにスマートファルコンを投入するか。僕は悩んだ。
決勝へのエントリーの期限が間近に迫っている。(続く)