前回のリンゴは比較的描きやすいモチーフらしいので、今回はいかにも難しそうな透明な被写体を選びました。
まず、何を描くかが問題です。手に負えないほど複雑な物体では簡素になりがちなスケッチでその全体像を的確に表現することは困難な作業です。
かといって形状が単純な箱や球では、アウトラインの反射した光をなぞって物体の形を示してお終い、なんてあまりに絵としての見せ場が無くなる可能性も考えられます。
ここまで考えて、やはり透明なのだから配置のしかたも問題になりそうだと思い、映り込みそうな複雑な背景が無いように机を掃除しました。
本格的な油絵のデッサンで、まずモチーフの配置から解説している動画をみた覚えがあるのですが、その意味が少し分かったような気がします。
今回は明るい光源の近くでシンプルな背景が用意できたので、モチーフは少しだけ複雑な物が適当なように思いました。
なので、もう壊れてしまった加湿器に過去水を足すために置いてあった、今は放置されたペットボトルが丁度良いようです。
早速配置してみて、最終的にペットボトル上側に黒い書見台、下側に木製の茶色い机が映る程よく複雑で面白く、描きやすくもある構図にできたとおもいます。
ここまでやってようやく実際に絵を描く工程に移れました。
まず鉛筆で下書きをしました。
絵具と筆で勢いよく下書きして、重ね塗りによって効果的に色を重ねる人もいますが今回は透明なモチーフを描くことに集中するために鉛筆でしっかり形をとりたかったのですが
リンゴと違って整然とした細長いモチーフはしっかり写すこと自体が今の自分には難しかったです。
ですが手早くスケッチするのも目標の一つではあったので、少し縦横の比率に違和感があったのですが
このまま塗りながら微調整することにしました。
下塗りです。
大きめの紙に描いたので広い面積を塗るのに苦労しました。
前に描いたリンゴは小さ目のスケッチブックの半分に描いたのですが、これは大き目なスケッチブックの四分の一ちょっとで
大きさは倍近く違うので、水筆で描くには小さ目のスケッチブックが丁度良いようです。
光と影に関して言えば、透明なペットボトルの複雑な光の反射は設置場所のテーブルを照らすことはなかったので、
ペットボトルだけ塗り残して、背景の塗りだけに集中できました。
いつもより日が強く部屋が明るかったのですが、カーテン越しでは鋭い強い光はペットボトルを通してテーブルまで届かなかったようです。
いよいよペットボトル本体を塗りこんで完成となりました。
色自体は、背景が透けて見える場所に背景と同じ色を塗り、薄く透けている場所は白を混ぜるだけでそれらしくなってくれましたが
それぞれの色の形は複雑でどう情報を拾っていくかが難しかったです。
最終的には形を示す強い光の反射部分を白で描くことで分かりやすくなるのですが、水筆では濃く絵具を重ねられないので
細部や濃く重ねたい部分には普通の筆をつかいました。
後は光の入ってくるカーテンのコントラストを調整して仕上げとしました。