アニメ

ラブライブシリーズ屈指の推しキャラができました。

6月も終わりである。季節に敏感な日本人なら何を意味するか直ぐにわかると思う。そう、春アニメが終わったということだ。

なかなか粒ぞろいのクールだった。中でも一番良かったアニメは何かと言うと、ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会、略してニジガクだと僕は思う。

特に9話は本当に素晴らしかった。

9話のメインを張ったのはミア・テイラー。この子の魅力が相当のものだったからだ。

僕の中で、全ラブライブキャラを通してもお気に入り度はかなり上位に来る。

孤高の天才音楽少女、ミア・テイラー

今回のニジガクはアニメ2期なのだが、ミア・テイラーは2期から加わったキャラクターである。

テイラー家は世界的な音楽一家で、多くの歌姫を輩出してきた。ミア自身は作曲家の道を選び、まだ新人ながらその実力を注目され始めている。学業も非常に優秀で、14歳(ラブライブメンバー歴代最年少)にしてアメリカでは大学生という天才っぷり。

同じく2期から登場したショウ・ランジュとは本人たち曰く「ビジネスパートナー」という関係性で、

日本にはランジュに半ば強引に誘われる形で、高校3年生扱いで転校してきた。

その経歴ゆえにプライドが高く、生意気。馴れ合いは苦手で、誰かとつるむ事もない。猫が好きで、それを通して天王寺璃奈や宮下愛らニジガクのメンバーとも少しずつ打ち解けていったり、作曲者を志した高咲侑と時折話したりするとはいえ、基本的には一人で行動するクールで孤高な少女だ。

2期のストーリーは初っ端から同好会のライバルとして君臨したランジュの存在感が強いこともあって序盤はやや影が薄かった。至高の一人称である「ボク」っ娘であること以外は僕もそんなに注目していなかったが、9話で一気に化けた。ミアは滅茶苦茶いい子で、熱い魂をもった子なのだ。

ニジガクの歌は、キャラクターの色々な思いを載せた歌が多いが、その中でも、これだけまっすぐに誰かを思う気持ちを歌った曲は他にないのではないかと言うくらいの名曲だった。

彼女のキャラクター、関係性、秘めた思い。そのすべてを象徴する彼女の歌うシーンは鳥肌ものですらあった。ダンスも曲も歌声も勿論良いのだが、特に歌詞が本当に素晴らしい。

この曲が尊いのは、日本を去ろうとするランジュに向けて歌った曲であるということだ。

星に手を伸ばす少女、ショウランジュ

ショウ・ランジュはニジガクのアイドル達に憧れ、同じステージに立ちたいとはるばる香港から留学してきた子である。
だが1話の時点で早々に、仲間やファンに支えられるニジガクは本物のアイドルじゃないと言い、ランジュは一人で活動することを決めてしまう。誰かと一緒では個性が消えてしまう。あくまでも一人で、それも一方的に喜びや感動を与えるだけでいい、というのがランジュのスタイルなのだ。

確かにその言葉通りランジュには実力があり、一人でも素晴らしいパフォーマンスを見せ続け、あっというまにカリスマ的な人気を集める。

だが実は、彼女には「それしかできない」のだった。誰かと一緒に何かをする、と言うことができない。

対するニジガクは、仲間と一緒にやるライブでも個性は消えないということを証明するために、ユニットで歌うようになった。
彼女らはむしろ相乗効果でさらに魅力を引き出す形で素晴らしいパフォーマンスを発揮していく。(実際2期のユニット曲は、

めちゃくちゃ良いのだ)輝くニジガクメンバーたちをみて、それでもランジュは一人で活動することしか選べない。手の届かない所で輝く光を見つめるように、次第にランジュの表情は曇っていく

なぜランジュは誰かと一緒を否定するのか。それは、幼いころから何事につけ優秀だった彼女には、他人の心の機微や接し方がわからないからだ。ふと放った言葉やふるまいが相手を傷つけ、誰もが次第にランジュから離れて行ってしまうという過去を持っていた。だから圧倒的なパフォーマンスで認めてもらおうとした。そうじゃないと誰かと一緒にいることができない。

そしてついにランジュにとっては決定的な出来事が起きる。ランジュにとってたった一人の親友、三船栞子がスクールアイドルを目指すと決めたことだ。栞子はずっとその思いを隠していたし、何より彼女自身がその気持ちを否定していた。だからランジュが気が付かなくても仕方ないのだ。それでもランジュは

「たった一人の大切な友達がずっと秘めていた思いにすら自分は気づくことができなかった」と思ってしまう。自分はもうステージに立つことは出来ない、そんな自分は、誰かを笑顔にすることは出来ない。

だからランジュは、スクールアイドルをやめ、香港に帰ることを決意する。全力でやりきったけれど、ニジガクの放つ輝きに全く手が届かなかった、と言い残して。

暗闇を歩くことに慣れてしまった少女、ミア

ミア・テイラーは怒ると同時に焦る。ニジガクに勝てなかったと告げるランジュは、なぜそう思ったかを説明しなかった。だからミアは、自分の曲が力不足だからだ、と思い込んでしまう
それなら、才能の限りを尽くしてニジガクを上回るランジュの為の曲を作るしかない。そうしてランジュを引き留めるためにミアが必死に作った歌は確かに素晴らしいとランジュも認める出来だった。だがランジュは、その曲を歌おうとはせず、帰国の意思を翻すことはなかった。「これはランジュの歌じゃない」と言って。

ミアは才能ある作曲家で、新進気鋭ながらその姿勢はまさに「プロ」だ。だからミアは、作曲家を志しはじめた主人公の高咲侑「求められるものを作るのがプロだ」と言っていた。ゆえに彼女の曲に「ミアの想い」は込められていない。それでは、心の折れたランジュには届かなかった。

なぜミアはそれほどまでに焦ったのか。彼女にとって、ランジュとの決別は自分の存在意義を失うことだからだ。

実は、ミアが生まれたテイラー家は音楽の名門であり、数々の歌手を世に送りだしてきた。ミアもかつては歌うことが大好きで、一日中歌っていることだってあった。だが、家族とともに新しい歌姫としてステージに立つことになったとき、彼女は歌えなかった。幼い頃の彼女は、無数の観客の期待が怖かったのだ。誰もがテイラー家にふさわしい才能を期待している。歌が好きで歌っていただけの自分では、それに応えられないのではないか。テイラー家の娘としてふさわしくないのではないか……その恐れから、彼女は歌うことができなくなった。

「音楽に携われなければ自分に価値はない」

そう思い込んだ彼女は歌うのではなく作曲の道に進むことで、テイラー家の娘としてせめてもの居場所を見出そうとしたのだった。ミアとランジュはビジネスパートナー。自分を輝かせてくれる素晴らしい曲を求めるランジュと、自分の曲を多くの人々に届けるためのスターを必要とするミア。もし自分が作曲家として成功できなければ、世界の何処にも自分の居場所はなくなってしまう

もう一度、光が刺す場所へ。

自暴自棄になったミアを救ったのは、ニジガクのメンバー、天王寺璃奈である。

2期で、ネコ好きという共通点からミアと接点のあった璃奈は、ニジガクのメンバーの中でもっともミアに近い少女でもあった。

なぜなら璃奈もかつては他者を拒んでいたから。どんな時でも表情が全く変わらないという特質を持つ彼女は、誰かと一緒にいても気持ちが伝わらず、楽しいと感じていてもそれを伝えられず、周りの人を傷つけてしまうこともあった。どこにも居場所がない、かつてそう思っていた璃奈を救ったのがニジガクの仲間達だった。

1期で大きく成長した彼女は「ミア・テイラーではなく、ミアちゃんの歌を聴きたい。歌が好きなら、その気持ちを無かったことにしないでほしい」と訴える。そしてニジガクは、きっとミアの居場所になれるとも。

ミアは、今でも本当は狂おしいほど強く歌いたいと思っていたことに気が付く。ランジュも自分も、夢に手を伸ばして、それでも届かず、あきらめてしまっていた。

ミアが選んだのは、新しい曲を作り――そしてランジュの前で歌うこと。

ランジュの為だけの曲でも、自分の為だけの曲でもない。

ミア自身の声で伝える、ミアとランジュの為の曲を。

ニジガクのメンバーに支えられながら、彼女が作り上げた歌が、この歌だ。


もはや洋楽。超オシャレ。でもオール英語なのでちょっと何言ってるかわかんないかもしれない。

だが問題ない。抜群の歌唱力に、ミアのこの輝くような笑顔があればもう最強である。

しかもこんなTOEIC10点レベルの英語音痴にも優しい公式はちゃんと日本語訳に訳してくれている。YouTubeで動画を見ると、なんと概要欄に日本語訳が載っている。

この日本語訳がめちゃくちゃいい。

普段はクールな彼女の、ニジガクのメンバーへの感謝と信頼、そしてランジュを思う気持ちの熱さに胸を打たれるのだ。例えばこれ。

君の為に希望を込めた想いと心の声が巡り巡って僕の元に戻ってきたよ」

これだけですでに感動的なのだが、英語で歌う彼女がサビで使う人称もたまらない。「I」ではなく「We」。つまり「僕」ではなく「僕ら」=ミアとランジュなのだ。

「僕らなら届くはずだよ」とか「だから光を閉ざさないで」歌詞のどの部分もエモーショナルなのだが、中でも最高なのが、きっとランジュに向けて微笑みながら歌ったであろうこの歌詞。

「Try this」日本語訳は「信じてみて」

同好会のメンバーたちを、ミアを、そしてランジュ自身を信じて、もう一度手を伸ばそう。そんなふうに、ランジュに手を指し伸ばす優しい少女がミア・テイラーなのである。

掴んだ光、ニジガクという居場所。

互いを思いながらも、不器用なランジュ・ミア・栞子の思いが重なって、本当にやりたいことを見つけた彼女たちもまた、ニジガクの仲間となる。

次の話からは彼女たちの多彩な表情が観られるようになり、実に良い。

特にミアは、持ち前の生意気なクソガキ(誉め言葉)っぷりをいかんなく発揮するようになり、赤点三昧中須かすみ朝香果林3年生 卒業間近)の成績を知って、得意満面に「勉強を教えてやろうか~?」と言ったりもする。二人とも年上なのだが関係なく煽るミアの表情がまたいいのだ。

なお、赤点常習犯の二人はミアが勉強を教えた結果みごとに成績を良化させ、普段の2倍もの点数を取る事に成功した(55点

このボクが教えてこれかとショックで落ち込むミアもまたかわいい。

ニジガクは先日最終回を迎え、その出来も素晴らしかった。個性豊かなキャラクターが勢ぞろいしたニジガク、オススメである。

FT

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浅く広くいろんな作品に触れていくタイプなので、それを活かして記事を書いていこうと思います。よろしくお願いします!


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