読売ジャイアンツ(巨人) #常勝 #名門 #スーパースター
最多優勝、最多日本一を誇り、数々のレジェンドを生み出し続ける球界の盟主
日本人約1億人のうち、約3億人が巨人ファンなので今更オススメするまでもないがとは思うが、今回紹介するチームは読売ジャイアンツ、すなわち巨人である。
「我が巨人軍は永遠に不滅です」
野球を知らなくてもこの言葉を知っている人は多いだろう。かのミスタープロ野球、長嶋茂雄の引退セレモニーでの言葉である。数々の栄光を勝ち取ってきた日本最古のプロ野球チーム、読売ジャイアンツ。マスコットのジャビット君も可愛い。
チーム名は読売ジャイアンツだが、会社としての球団名は読売巨人軍であることから、「巨人」と呼ばれる。イントネーションは「きょじん↑」ではなく「きょじん↓」。
プロ野球創設時から存在する、球界で最も長い歴史を誇る名門。ファン数も日本一。はるか昔(2000年代半ばまで)には地上波のゴールデンタイムで巨人戦が毎日流れていたんじゃよ。
その輝かしい歴史から「球界の盟主」と呼ばれるチームである。
王者であることを義務付けられたチームで、リーグ優勝38回、日本一22回という実績はどちらも文句なしの最多回数で他チームの追随を許さない。創立以来の平均順位もダントツの1位である。
他のすべての球団には存在する長い下位低迷期、いわゆる「暗黒期」がない唯一の球団であり、球団、監督コーチ、選手に至るまで勝利至上主義を共有している。そんな「勝者のメンタリティ」が引き継がれ続けている、というのが最大の特徴だ。やっぱ巨人は最高だぜ。
プロ野球史上最強のチームー伝説のV9時代
「巨人・大鵬(相撲の横綱)・卵焼き」という言葉がある。昭和時代、当時の子供たちが大好きなものを言い表した言葉だ。さすがに僕も生まれていないので直接は知らないが、そのくらい巨人の人気は凄かったらしい。後世に残るスター揃いだし、とにかく強かった。
1965年~1973年にかけて、あの有名な「V9」を達成。9年連続優勝どころか、9年連続日本一という圧倒的な強さを誇った。
ホームランの世界記録保持者である王貞治やミスタープロ野球長嶋茂雄の通称ONコンビを中心に勝ち続け、王者として君臨し続けた。
その後も何度も日本一に輝き、21世紀に入ってからも、原辰徳監督のもとで9度の優勝、3度の日本一を果たすなど、まさに常勝球団と言う強さを見せる。
特に日本一になった2002,2009,2012年の巨人はプロ野球の歴代でもトップクラスの強さを誇るチームと言われており、2012年には、リーグ優勝、交流戦優勝、クライマックスシリーズ勝利、日本一、さらに韓国や台湾のチャンピオンチームと戦うアジアシリーズでも優勝、プロ野球チームとして史上唯一の5冠達成を果たした。
その歴史と伝統ゆえに、選手の一人一人が勝利のためには今何をすべきか理解し、高いモチベーションと勝負強さを持っているのが特徴。主力ですら勝負どころでは送りバントなどの自己犠牲をいとわないチームスタイルでここぞという場面での強さは群を抜いている。超一流の選手たちが頭を使ってプレーしているのだからそれは強いという話である。
内部の規律も厳しい。暗黙の了解でヒゲや金髪は禁止だし、集合時間の30分前に来ていないと遅刻とみなされる俗にいう「ジャイアンツタイム」というものがある。僕なんか5分前行動すらままならないので巨人軍入りは不可能だ。残念な事である。
ー伝説のスーパースターたちー
巨人は「常勝」を義務付けられたチームゆえに競争も激しく、プレッシャーも大きい。その重圧に負け、思うようにプレーできない選手も少なくない。チームの調子が良くなければ、外部から新戦力をためらわずに補強する。レギュラーの座をつかむのは容易ではない。
だが、一流の選手が切磋琢磨しあうからこそ、それぞれポジションにおけるプロ野球史上最強と言われる様な選手が育つのが巨人の特徴である。
王貞治、長嶋茂雄といった伝説の二人はもちろんのこと、歴史を通じて数々のスーパープレイヤーを輩出している。近年に限ってみても伝説級の選手が何人もおり、特に優れた選手を紹介しよう。
松井秀喜
怪物じみたパワーと卓越したバッティング技術を誇る。超一流選手でも現役中に一度達成するかしないかの「OPS1.000」を28歳の時点で3年連続で達成し、日本ではもはや「抑えるすべがない」とまで他球団の選手や監督に言わしめた。2003年にメジャーリーグの超名門ニューヨークヤンキースへ移籍すると、いきなり100打点を記録。2004年には大谷翔平以前ではアジア人歴代最高の31HRを放ち、2005年には打率3割も記録。その後も安定して打率.280、HR25本、打点80以上とチームの主軸打者に相応しい成績を残す。
特筆すべきは2009年。ワールドシリーズ(アメリカ版日本シリーズ)では、7試合でホームラン3本、8打点、打率は6割を超える異次元の活躍でチームの勝利に貢献。ワールドシリーズMVPとなった。これは日本人のみならずアジア人で唯一であり、日本シリーズとワールドシリーズ両方でMVPを取ったのは世界で松井ただ一人である。
日本に来た歴代の最強外国人たちがレギュラーさえつかめなかったメジャーリーグ、その中でも一番の名門ニューヨークヤンキースの中心打者として活躍し続けたことで、日本プロ野球歴代最強の打者と評する声も多い。
上原浩治
2019年に引退した、ボールのコントロールでは歴代最高の投手。日本時代、ルーキーイヤーから20勝という偉業を成し遂げると、その後も巨人のエースとして君臨。最高の先発投手に贈られる沢村賞を2度獲得。彼もメジャーに移籍したが、アメリカでは抑え投手として大活躍。特に2013年は素晴らしかった。通常なら3点台でも優秀とされるメジャーリーグの抑え投手として「防御率1.02」という化け物じみた数字を残し、ワールドシリーズ優勝に貢献。最大の武器はその卓越したボールコントロール。キャッチャーの構えたところに寸分たがわず投げ込むなど、すべてのボールを自在に操ることができる。コントロールの良さを示す「K/BB」という数値ではなんと、「日本の歴代ダントツ1位」である。
さらにアメリカでも、「400イニング以上投げた投手では歴代1位」という離れ業を成し遂げている。
しかも、上原はボールのスピードがとても遅い。時速140キロでるかでないか、である。時速160キロのスピードボールが当たり前のメジャーリーグで、140キロにも満たない球速でバッターを手玉にとる様から、「魔法使い」と称された。
阿部慎之助
2019年に引退したキャッチャー。キャッチャーとしての歴代の最高打率と最高出塁率の記録を持つほどの卓越した打撃技術と、HR30本以上を何度も記録する長打力を兼ね備え、2012年にはあわや三冠王という数字を残すほどの圧倒的な打撃力を誇る。
さらには守備では失策(エラー)を全くせず、連続無失策の日本記録を持つほか、故野村克也氏にも称賛された巧みなリードも兼ね備え、キャッチャーとしてチームを7度の優勝、3度の日本一に導いた。解説者からは「阿部1人でリーグの力関係が大きく変わる」と言われているほどの選手で、野村克也や古田敦也などと並び、プロ野球史上最強捕手候補の一人と言われている。
菅野智之
現在の巨人のエース。2014~2018にかけて先発投手として歴代トップクラスの成績を残し、沢村賞を2年連続で受賞。2017年のWBC(野球のワールドカップ)では、メジャーリーグのオールスターを揃えたアメリカ打線をほぼ完ぺきに抑えこむなど、押しも押されぬ日本の大エースとして君臨しつづけた。レジェンド級の証である防御率1点台を3度も記録、殆どのシーズンで超一流と言われる2点台前半以下を記録してきた。
最速156キロのストレートに、精密機械の様なコントロール、何種類もの変化球を兼ね備える。特にスライダーは伝家の宝刀で、消える魔球と呼ばれるほどのキレ味を誇り、投手の理想形ともいえる能力を持つ。
巨人監督の原辰徳の甥であり、巨人入団を希望するもドラフトで日本ハムに指名されたため、一年間の浪人生活を経て巨人に入団。
2021年は怪我が多く不調のシーズンだった。33歳を迎えベテラン投手の域に達しているが、身体の状態によって柔軟に投げ方を調整する器用さがある。V奪回を目指すチームには彼の復調は欠かせない。
このように数々の名選手が生まれてきた巨人だが、今まさにプロ野球界に残る伝説を刻み続ける選手がいる。それが坂本勇人である。
彼こそは、多くの人が認める「プロ野球史上最強遊撃手」だ。
『生ける伝説』坂本勇人
坂本の何がすごいのか。それは、ショートを守る選手として、歴代トップクラスの守備力と、疑いなく歴代最高の打撃力を兼ね備えた選手だということだ。
ショートの選手はふつう、「守れるけど打てない」「打てるけど守れない」のどちらかである。
最も激務のポジションであり、水準以上の守備をするだけでも負担はかなりの物だからだ。守備と打撃、そのどちらかが優れているだけでも超一流なのに、坂本はどちらも歴代最高峰である。データを見ると守備力は歴代3位、打撃に関してはぶっちぎりの歴代1位である。
(参考 https://ranzankeikoku.blog.fc2.com/)
坂本は「超守れて激超打てる」のである。
セ・リーグのショートで唯一首位打者を獲り、歴代ショートでの最高出塁率の記録を持つほどの巧みなバットコントロールを持ちながら、遊撃手では他にたった1人しかいないシーズン40本塁打も達成し、ショートで史上最長の13年連続で2桁のホームランを放つなど長打力をほこる。
極めつけは、「すでに2000本安打を打っている」ということ。この2000本安打というのは、本当に一握りの超一流打者が、引退間近になってから達成するような数字である。それを彼は、まだ30歳と数か月の時点で達成した。恐るべき速さであり、これはプロ野球80年の歴史の中でも2番目の速さ、右打者に限って言えば最速なのだが、実はこれ、本来ならもう2ヶ月早く達成している。なぜなら2020年にコロナで開幕が2か月以上遅れているからだ。それが無ければ、掛け値なしに史上最年少になっていたというわけだ。
その能力は勿論、明るさと厳しさを供えた抜群のリーダーシップから、日本代表には欠かさず選出され、今では代表の監督からチームについて相談されるキャプテンとして代表チームをまとめ上げている。
ー受け継がれていく伝説ー
「常勝軍団」の血を脈々と繋ぎ続けていくことが、巨人の最大の特徴であると最初に述べた。今あげた選手たちも、先人たちからそうやって常勝球団の選手としてのあるべき姿を教わってきた。
入団直後からたぐいまれな才能を示した坂本に、チームリーダーのあるべき姿を示し続けてきたのは阿部だ。
その阿部は入団当初から正捕手を任命され、巨人のエースの上原とバッテリーを組むことで成長してきた。エース上原とともに4番打者としてチームをけん引したのが松井。高校時代からすでに怪物の片りんを見せていた松井に、寮の畳が擦り切れるまで素振りをさせたり、自宅に招いてマンツーマンで練習するなどして松井を最強打者に育て上げたのが当時監督だった長嶋茂雄である。
長嶋と共に切磋琢磨し、HRの世界記録を打ち立てた王貞治、そして彼らONコンビを中心にV9を達成した故川上哲治監督……こうして世代から世代へ巨人軍のありかたが脈々とつながっていく。
19歳でデビューした坂本ももうベテラン。10年勤めれば超一流と言われるショートで試合に出続けてもう16年になる。ショートしての史上最多出場も記録した。その背中で次のスーパースターを導く立場になったし、実際にそういう言動が増えた。
巨人の次の時代を担うのは、現在チームの4番を打っている岡本和真だろう。彼もまた、スーパースター候補である。史上最年少での打率3割、HR30本、打点100を達成するという偉業を成し遂げた岡本はまだ25歳と若い。さらなる覚醒を果たし、伝説を受け継ぐことができるか。
近年の巨人が抱える最大の弱点。それはクジ運の悪さ
そんな栄光の巨人軍であるが、今は過渡期である。
リーグ3連覇を目指した2021年は怪我人の続出で辛くも3位と終った。前述の坂本勇人や菅野智之、抜群の選球眼と長打力を誇る丸佳浩、山口俊など代表クラスの選手はみなベテランに達している。まだ衰える年齢ではないが、全盛期に比べればやはり成績の低下は免れないし、怪我のリスクも増えた。
だが彼らからスタメンを奪えるほどの若手が出てきていない。
理由はいろいろある。
スーパースターが多くレギュラーが固定しやすいこと、補強に積極的で他球団の主力選手が入ってきやすいことなど、確かに元々若手にとって壁が大きなチームではある。
だが、坂本や岡本や菅野などは早くから活躍したのだ。
だから問題はそこではない。岡本和真を除いて、若手がチームの主力になり切れていない理由は他にある。
その最大の原因は、巨人はドラフトのクジ運が非常に悪い、ということだ。現状のルールでは、ドラフト1位で指名が被るとくじ引きを引いて、当たった方が獲得できるシステムになっている。そのくじ運がとにかくわるい。もう15年近く、くじ引きに勝っていない。
意中の新人を獲得できないことが何年も続いた。なにせ、ドラフト1位を外し、外れ1位ですら他球団と指名がかぶってくじに敗れ、4年連続で外れ外れ1位を獲得しているくらいである。
つまり、何年にもわたってドラフト2位、3位クラスの選手を1位で指名せざるを得ない状況になっているのだ。おまけに、ドラ1で大幅に予定が狂うために、その後の選手指名でも後手に回ってしまい、上位指名が機能しなかったシーズンすらある。
他のチームでは、ドラフト上位の選手が順調に主力として育ってきている中で、このクジ運の悪さはかなりのハンデとなってしまっている。
それでも、巨人は世間で思われているような、育成が下手なチームではない。例えば昨年日本記録の球速166キロを記録したチアゴ・ビエイラは巨人に来てから一気に成長した。ドラフト下位指名の21歳ながら先発ローテーションに定着した戸郷翔生、11勝を挙げた高橋優貴など投手に期待株が多い。野手にしても、抜群の守備に加えて調子のムラがあるものの天才的な打撃を見せる吉川尚輝や松原聖也らがレギュラー定着を狙う。万全なら優勝候補筆頭であることは間違いない。
YouTubeも面白いよ
伝統的と思われがちな巨人だが実はかなり先進的な球団であり、設備や練習メニューは最新鋭のものがそろっている。ファンサービスも充実しており、ファンクラブの評価は12球団の中でもトップレベルに高い。また、球団公式YouTubeが面白い。ほぼ毎日更新しており、選手の練習風景やインタビュー、試合前のベンチを映した動画などが人気。全球団が公式チャンネルを持っているが、その中で最も登録者が多く、40万人と断トツである。
なおほとんどの選手がYouTubeでは流ちょうにしゃべり冗談も達者なのだが、なぜかヒーローインタビューは無難なコメントが多くあまり面白くなかったりする。
伝説的な歴史を持ちながら、常に先進的なシステムを導入しようとする姿勢があるから、巨人は常勝球団なのだ。やはりプロ野球と言えば巨人がナンバーワンだと言える。